保育事故
保育中の事故、とりわけ、認可外保育施設等での睡眠中の死亡事故が後を絶ちません。
朝、元気な姿で送り出した我が子を突然失う驚きと悲しみは、筆舌に尽くしがたいものです。
厚労省が定めた「保育所保育指針」(2018年(平成30年)4月1日施行)には、
「事故防止及び安全対策」として、
- 保育中の事故防止のために、子どもの心身の状態等を踏まえつつ、施設内外の安全点検に努め、安全対策のために全職員の共通理解や体制づくりを図るとともに、家庭や地域の関係機関の協力の下に安全指導を行うこと。
- 事故防止の取組を行う際には、特に、睡眠中、プール活動・水遊び中、食事中等の場面では重大事故が発生しやすいことを踏まえ、子どもの主体的な活動を大切にしつつ、施設内外の環境の配慮や指導の工夫を行うなど、必要な対策を講じること。
- 保育中の事故の発生に備え、施設内外の危険箇所の点検や訓練を実施するとともに、外部からの不審者等の侵入防止のための措置や訓練など不測の事態に備えて必要な対応を行うこと。また、子どもの精神保健面における対応に留意すること。
と定められ、上記「イ」についての、解説には、
「安全な保育環境を確保するため、子どもの年齢、場所、活動内容に留意し、事故の発生防止に取り組む。特に、睡眠、プール活動及び水遊び、食事等の場面については、重大事故が発生しやすいことを踏まえて、場面に応じた適切な対応をすることが重要である。
例えば、乳児の睡眠中の窒息リスクの除去としては、医学的な理由で医師からうつぶせ寝を勧められている場合以外は、子どもの顔が見える仰向けに寝かせることが重要である。睡眠前には口の中に異物等がないかを確認し、柔らかい布団やぬいぐるみ等を使用しない、またヒモ及びヒモ状のものをそばに置かないなど、安全な睡眠環境の確保を行う。また、定期的に子どもの状態を点検するなど、異常が発生した場合の早期発見や重大事故の予防のための工夫が求められる。子どもを一人にしないこと、寝かせ方に配慮すること、安全な睡眠環境を整えることは、窒息や誤飲、怪我などの事故を未然に防ぐことにつながる。
プール活動や水遊びを行う場合は、監視体制の空白が生じないよう、専ら監視を行う者とプール指導等を行う者を分けて配置し、役割分担を明確にする。また、これらの職員に対して、監視の際に見落としがちなリスクや注意すべきポイントについて事前教育を十分に行う。十分な監視体制の確保が出来ない場合は、プール活動の中止も検討すべきである。」
と記載されているのですが、実践されておらずに起きる事故が続いています。
何故、そのような事故が起きたのかという検証が必ずしも十分なされることなく繰り返されていることは、残念でなりません。
保育事故については、刑事告訴をして刑事事件になる場合もありますが、多くは、民事事件として損害賠償の請求をすることになります。
保育担当者がお子さんの状況の確認をしておらず、どのようにしてそのような事態に至ったのかということの解明が困難な場合も実際には多いのですが、医療機関のカルテや、亡くなられた場合には解剖の結果などを手がかりに、進めていくことになります。
お子さんを失われて全てのことに悲観的になってしまって何もできないでいる状態から少しでも前に進み、損害賠償請求などを、どのように進めていくのかということを考えていけるようになるためには、同じ経験をされた方々からいただけるアドバイスがとても貴重なものになっています。
不幸にしてこのような事故に遭遇してしまった場合、まわりにそのような方がおられるという場合、まずは保育事故を担当したことがある弁護士に相談してみて下さい。