よくあるご相談事例

さまざまな法律問題について、皆さんがよく相談される典型的なケースをご紹介します。
なお、回答はあくまで一例にすぎません。

刑事事件(裁判員裁判対応を含む)

 夫が電車内での痴漢をしたということで、逮捕されてしまいました。警察で面会したところ、夫は「そんなことはしていない」といっています。どうしたらいいのでしょうか。

 逮捕されてしまった場合、身柄の拘束が長期化する恐れがあります。とにかく弁護士に相談して、会ってもらうことです。知り合いの弁護士がいない場合、弁護士会に連絡して「当番弁護士をお願いしたい」と言ってください。待機している弁護士が初回は無料で接見にいってくれ、事情を聞いて適切なアドバイスをしてくれます。

 居酒屋で隣の客と口論になり、相手がいきなりビール瓶を振りかざして私に殴りかかろうとしました。私は身の危険を感じて、とっさに右手で相手の顎のあたりを殴りつけました。相手は、イスから転げ落ちました。私も興奮していたので、床に転がっている相手を2度ほど蹴りつけたところ、一緒に飲んでいた同僚や他の客に取り押さえられました。私は、駆けつけた警察官にその場で逮捕され、その後、勾留されています。相手は、打撲で治療を受けたと聞いています。早く出ないと会社をクビになるかもしれません。どうしたらいいのでしょうか。
 わたしが蹴ったことは認めますし、怪我をさせたことについては今では反省しています。

 逮捕後の身柄拘束について刑事訴訟法では、逮捕段階で最長3日、勾留段階で勾留延長を含め最長20、通算で最長23日と決められており、検察官は、この期間内に公訴提起をするか、釈放しなければなりません。公訴提起されると、保釈されない限り、勾留されたまま裁判を受けることになります。
 本来、勾留期間は最長10日と規定されておりますが、さらに最長10日間の勾留延長をされることがあります。刑事訴訟法208条2項によれば、勾留延長は「やむを得ない事由がある」場合に限られていますが、実際には、多くの事件で安易に勾留延長されており、むしろ20日間の勾留の方が原則になっているような実務の運用がなされています。もちろん、不当な勾留延長に対しては、準抗告等の異議申立の手続きがありますが、必ずしも認められるとは限らないのが現状です。
 そこで、早期に釈放させるためには、被害者との示談を成立させて、検察官に起訴猶予処分にするよう働きかけることが重要です。示談が成立し、起訴しないことになれば、勾留期間満了前であっても釈放されることがあります。
 もともと相手の方が、ビール瓶で殴りかかってきたということですので、それを見ていた人からその様子を報告した書類などを作ってもらい、少なくとも相手にも非があることを証明したり、あなたの仕事の内容から早期釈放されないと失職することを訴えて、早期に釈放するよう要請することも有効でしょう。
 ただし、示談が成立した場合であっても、怪我がひどい場合は、起訴されてしまうこともあります。弁護人を選任して、早期に上記のような弁護活動をしてもらうことです。